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力を持った新オタク族が登場する

高性能の自動翻訳装置がパソコン通信にセットされるため、言葉の障害なしに世界中の人々とコミュニケーションが可能になる。 しかも、極めて鮮明な映像と音声を伴い機能自体も強化されるため、言葉の障壁なしに世界中の人々とコミニュケーションが可能になる。 しかも、極めて鮮明な映像と音声を伴い機能自体も強化されるため、利用者は飛躍的に増えるだろう。 例えば、遠い外国に居る技術者やアーティストと仮想現実感通信システムを通して、設計図面や映像ソフトを共同製作したり、 あるいはコンピュータが創り出した現実仮想空間のジャングルの中に入り込んで冒険したり、見知らぬ人とゲームをするという様な事もパソコン通信で可能となろう。 このように通信とコンピュータが創造する擬似空間は、限りなく現実感覚に近づき、その世界に野外の魅力以上の物を見い出す人々が増えるだろう。

現在、人類が都市の地下に巨大な地下街という空間を創りつつある様に、コンピュータネットワークの発達は、それをはるかに越える巨大な仮想世界を創り上げるだろう。その世界に耽溺する者にとっては、現実空間は退屈で忌むべきものであり、安全と健康、慰安と娯楽の殿堂と化したマイホームこそが、母の胎内の様にやすらぐ場所になるだろう。彼らこそネットワークの生んだ新オタク族である。ただ、現在のオタク族と異なるのは、現実の世界と仮想の世界の区別を認識出来なくなる危険性は増大すると言う事である。なぜなら、人間の脳は与えられたイメージが鮮明であればあるほど、それを現実と錯覚し、行動をコントロールされる性行を持っているからである。

またもう一つの特徴は、共に自閉的ではあっても、従来のオタク族が外の世界へ影響力を持つ事が少なかった事に対して、新オタク族は、彼らの住む仮想の世界から現実の世界を、ネットワークを通して途方も無い力で操作する力を持つという事である。つまり、ネットワークが充実するに連れて虚構は現実に、思考は限りなく行動に近づき、新オタク族の影響力を著しく増す社会になるという事である。ただ、思い通りいかない現実の人間関係の中で、切磋琢磨する事を回避して虚構の楽しみに埋没する傾向が強まる社会。すなわち、電子のやりとりだけで満足する社会というものが、人間の健全な成長に悪影響を与えないか心配である。冒頭のイスラエルの少年に、将来の新オタク族の危険性を見るのは考えすぎだろうか?学生街から麻雀屋が消え、ゴルフをしない若者が増えるなど、協調を苦手とする若者の増大は未来の社会暗示している様に思えるのだが・・・・。

渕辺俊一著